2012年3月31日土曜日

ひとりで上る月。(世にも奇妙なハリーポッター&”Duets”の感想) « OnTHEEplanet


Rachel: ねえ、話したかったことがあるの。
Kurt: 妊娠はもうごめんだよ
Rachel: 思うんだけど、私とあなたってあなたが思うより似ているところがあると思うの。
Kurt: ひどいこと言うんだね。
Rachel: あなたが孤独だってこと、知ってるわ。学校でずっと侮辱を受けたりからかわれたりもっとひどいことされたりしなきゃならないってどれほど辛いことか、想像もできないくらいよ。私たち、今年は全国大会で優勝するのよ、どうしてかって?あなたがいるから。
Kurt: そうだね。
Rachel: 私たち12人はそのままのあなたを愛してる。ねえ、あなたの寂しさは知ってる。でも、あなたは一人じゃないのよ。それでね、考えたんだけど、私とデュエットしない?私の選んだ曲、あなたも気に入ると思うの。あなたも私も大好きな曲よ。
Kurt: でも。。デュエットコンテストは終わったよ。
Rachel: 分かってる。ただ、私とあなたのために唄うのよ。

Rachel: Hey, I had something I wanted to talk to you about.
Kurt: Oh, please not another pregnancy.
Rachel: I think that you and I are a little bit more similar than you think.
Kurt: That's a terrible thing to say.
Rachel: I know you're lonely.  I can't even imagine how hard it must be to have feelings in high school that you can't act on for fear of being humiliated, ridiculed or worse.  We're going to win Nationals this year, and you know how we're going to do that?  Because we have you.
Kurt: That's true.
Rachel: That's 12 people who love you just for being exactly the way that you are. Look, I know you're lonely, but…you're not alone.  So, I was wondering if you would maybe want to sing a duet with me?  I think you'll be really happy with my song selection.  It's sort of everything that both you and I love.
Kurt: But the, uh, duet competition is over.
Rachel: I know. I just…  I thought this one could be for me and you.


離れて過去を持っている父親のことを花嫁のための歌

ハリーポッターの最終章を見に行ったのよ。あたしは賢者の石と秘密の部屋を見て、何を勘違いしたのかハリーと宿敵ヴォルデモートが兄弟だと勘違いしてたんだけど、今日賢者の石を見なおして分かったわ。兄弟だったのは彼らじゃなくて彼らの杖だったのね。そのくらいにいい加減な勘違いのせいであたしはハリーポッターを見るのをやめてたのね。先月まではええと、四作目の「炎のゴブレット」までしか見てなかった。あたしは兄というものがこの世で一番嫌いな存在だから。もっと言うなら肉親というものの血の絆というものをほとんど憎んでいるから。で、イギリスの魔法ものという世にも魅力的な設定の映画を遠ざけていたわけだけど、最終章と聞いてどうしても見たくなったので、とりあえずDVDで見れるものだけ見て、� ��の情報を一切入れずに見に行ったわけよ。そんなわけで、これからハリポタ最終章見に行く人は激しくネタバレあるからこれ以上読まないでね。


壊れた結婚生活を支援する方法

もうね、見ているそばから次々に押し寄せるノスタルジーと子供の頃のあれやこれや。でもね、一番辛くて切なくて響いたのは、ハリーを中心にどんどんホグワーツの先生生徒たちが集まってくるのね。その繋がりってのが、当たり前だけど血やなんかじゃなくて、もちろんハリーの名声や力によるところは大きいんだけど、でもその「強さ」みたいなものに惹かれて集まる人々の純然たる好意とか、情とか、そういうものに圧倒されてね。思ったのよ。「あたし、仲間が欲しい。友達が欲しい」ってさ。もちろんあたし友達居ないわけじゃないし、大好きな人たちはいるよ、有り難いことに。でもさ、大人になるとそういう人たちは地理的にも時間的にも、あるいは心理的距離も、どんどん離れていくんだよね。それにね、あたしはフ� ��ーの基準に当てはめられない生活してゲイ的社会生活してるわけだから、当然置かれる立場は周りとの溝になっちゃうわけ。それを普段からいつもいつもいつも感じてるんじゃあないんだけど、あの子供の頃に感じた(はず)ようなグッと引き合うような全てが密着する感じはもうない。って言うんだけど、そもそもあたしにあったっけ?少なくとも転校繰り返してた中学生まではなかったし、その後はいじめ地獄だったからな。高校では家族の恐怖といじめ地獄から逃げ出したくて、留学した。憎んでいるという両親にもお金出してもらってた。どこに留学した?イギリスの私立女子校よ。ロンドン郊外のちっちゃな街。ウィンザー城まで公園を抜けてテムズからの支流を越えて歩いて行ける静かな住宅街。途中にはイートンの名門パ� �リックスクールもあった。そういえば合唱部でイートンの生徒たちと合同コンサートもした。なぜか第九を唄ったな。話がそれた。イギリスで何をしていたか?

虐められてた。


ここで、人々はスターのサインを見つけるのですか?

信じられる?イギリスまで行って、日本人社会の掟を破ったかどでつるし上げくらって日本人の先生と生徒グループにリビングルームに呼び出されて、グズグズネチネチ虐められてたってわけよ。もう終いには日本に帰りたくなるくらいだったのよ。虐められて逃げ出した日本にね。虐められまくってたときに居た部屋がこれまたおあつらえ向きに屋根裏部屋でね。ホストファミリーと寮とを行ったりきたりしてたんだけど、あたしがあたったホストファミリーがステキなおうちでね。日本人学生にあてがう部屋は屋根裏の小さな天井が傾いて屋根に出られる部屋だったというわけ。でもあたしはこの小さな部屋が気に入っててね。寮に用があって行ってなぜか虐めに合うということを繰り返していて、そんなとき部屋に帰ると、屋根裏� ��むかう階段にいつもその家の猫がいてね。マミキャット。お母さん猫ってことだけど、彼女がいつもあたしを迎えてくれて、というか部屋に入りたくてドアの前でねっちり座って待ってるのよ。あたしがドアをあけると当たり前みたいにあたしの前に立って部屋に入って行くの。あたしはそのまま窓に向かった机にのりあがって窓から外へと出て行って、屋根に寝転がって星見てたわ。そして考えるわけ。誰もこの世に味方なんて居ないってね。思春期のモラトリアムよ。馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。今のあたしが彼女を見たら、鼻で笑うわね。そんな感傷には、ビーンズかけてマヨネーズと一緒に食っちまいなって。自分でご飯食べてから言いなさい、このすっとこどっこいってね。でもあたしにもそんな時期があって、それは� �れなりに救いがなかったのよ。思春期なんてそんなもの。

そんな恵まれた環境でクソみたいな痛みを紅茶に落として苦い顔して飲み込んでたあたしは、いわゆる「仲間」ってものの絆を感じたことが皆無なのよね。家族は寝食くれても神経と身の危険については無頓着な人たちだったし、友達といえる人は高校入るまでどこへ行っても虐められ通しで、ほぼ居なかった。学生、というよりクラスメイトってやつは烏合の衆で、あっちが良いと言われればあっちに付き、こっちが悪いと言われればこっちを排除するような連中なのよ。だから、個人なんてものは無い方がいい。「仲間」って言葉が大嫌いだった。ガッコの成績以外は100%負け組だったから、どう転んだって「勝ち負け」を意識する多数決社会を憎んでたし、今も嫌い。でもさ、それでもさ。


こないださ、Duetsの回のRachelとKurtの会話をこないだ会社帰りにiPhoneに落としたのを見てて、泣きそうになっちゃったのよね。ラッシュの地下鉄でiPhone画面見ながらグズグズ水洟啜ってるOL(おお、この屈辱的尊称なり)がいたわけよ。痛いわね、ホンット。一番上の会話。これね、英語で聞いてると本当に泣ける。日本語でもいいんだけど、英語がいいんだよ、こればっかりは。

Rachel: I know you're lonely, but you're not alone.(あなたの寂しさは知ってる。でも独りぼっちじゃないわ)

この言葉って訳すのすごくすごく難しいのよね。言葉だけじゃない。その背景。KurtのBurtパパとの会話。

BurtYou know, until you find somebody as open and as brave as you, you're just going to have to get used to going it alone.(いつかお前が、お前と同じくらいオープンで勇気のある誰かと出会う、そのときまでは、お前は一人に慣れていかなきゃならないんだ。)

そしてその後のデュエットコンテストで一人で歌い踊ったLe Jazz Hotのパフォーマンスのときに言った言葉。

Kurt: When you're different, when you're special, sometimes you have to get used to being alone.(人と違っていて、特別だってことはつまり、孤独に耐えなきゃならないってことでもある)

この言葉があるから、Rachelが掛けるこの言葉にすごく意味があるんだ。Kurtはすごく寂しい。一人ですごく寂しい。その一人であるという事実は決して変わらない。それが大前提。Rachelが掛ける言葉は中学生日記(まだあるの?)で道徳の授業で(まだあるの??)先生が教えるみたいにさ、「一人じゃないさ」とか言うのとは全然違って、

「あんたは独りぽっちよね。分かってる。その孤独はあたしにはどうしようもない」

ってのが分かった上での「you're not alone」なんだわさ。独りが独りであることを無視しないで、独りを認めた上で、あんたのことちゃんと見てて、泣いてるときにはそれもちゃんと見てるよって、そいで肩叩いてたまに一緒に唄ってやらんでもないよってね。そういうの。そういう全然べたっとしてない関係。それをあたしはこの台詞から感じるんだな。だから主語がすぐ吹っ飛ぶ日本語に訳すとすっごく意味が変わってべたーーーーっと湿度ましちゃうのよね。今のこの天気みたいにさ。だから、こればっかは英語のまんま丸呑みするしかないんだな。。。あたしにとって。


でさ、話があたしがイギリスで虐められてた、ついこないだ人類が火を使うようになった時代に遡るんだけどさ。そのあたしが住んでた屋根裏部屋を、ふと思い出したのね。今日映画館から戻ってきてから見た、賢者の石でハリーがあてがわれてた階段下の物置を見てて。もちろん物置って屋根裏部屋とは全然違って部屋じゃないからさ。お話になんないんだけど、でも環境がね。そいでさ、その物置で暮らしてたハリーが、学校中の生徒たちの信頼を得て、先生たちにも愛されて、宿敵に立ち向かっていくわけよ。みんな命掛けてんのよ。勝ち負けも多数決も資本主義も知ったこっちゃないよね。逆に思っちゃったよね。勝って何が悪いってさ。あの物語の一番の骨子が、つまりはヴォルデモートの心の一部が滅ぼす側のハリーに宿っ� ��いるということなんだけど、これはあたしにとってはやっぱり、家族への、血縁への矛盾にも繋がるんだ。だからさ、あたしはそれを滅ぼすしかない、そしてそれによって死ぬしかないハリーの運命を知ったときに、もう涙止まんなかったよね。あたしやっぱ死ぬしかないわけ?って。感傷の続きよね。まあ笑ってちょうだい。ホントに笑ったらコロスけど。

見終わって思ってるのはさ。心の中に入り込んだ悪を滅ぼしてしまったハリーは、一体どんな人間になってしまうんだろうってこと。あたしさ、やっぱ悪を完全に滅ぼしたら死しかないって思うんだ。悪と善はぐぐぐと凌ぎ合いながらなんとか善を勝たせるバランスでやっていくしかないって今は思ってる。ハリーはどうなんだろう?児童書だから悪を滅ぼしたんだろうか。ホントに滅びたんだろうか。ヴォルデモートは??

あたしさ、孤独も悪も、良い悪いじゃなくて、人の生きて行く方法として、決して滅ぼせないって思ってるんだけど、どうなんだろう。しまったな。オチがつかなかったよ、ごめんよ。あ、すごい月が上ってるよ。青灰色の空に、オレンジのセロファンみたいな薄っぺらい月だよ。あの世からうっかり漏れる光みたいなぽかんとしたオレンジ。猫たちものしのしあたしの後ろを横切って月を見に行ったよ。ねえ、見てよ。一緒に見ようよ。



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